■日本を売るには
「日本のものだから買う」ということが、特に大陸中国においてはどの程度あるのか疑問である。日経ビジネスの特集では、台湾でパナソニックの携帯が一瞬にしてシェアを大いに上げたが、その時使われた「魔術」が日本を前面に出すことだったとしている。セリフがすべて日本語のテレビCMを製作し、それが台湾の若者の購入意欲に火を付けたということだ。上海でもパナソニック製の携帯電話が大変よく売れているが、この理由は台湾とは異なる。単に他社製品に比べパナソニック製品が圧倒的に小さく・軽かったということだ。そもそも中国人の多くは、松下と言えば別だが、Panasonicと聞いてそれが日本ブランドであるなどとは思わない。
冒頭で述べた『大東亜厚底共栄圏』(このようなアジアの人々に不快感を与える文字を表紙の真ん中に大きく載せること自体が我々中国で働くものにとってはどうかと思うことなのだが・・・)。大東亜共栄圏構想は、共栄圏という言葉に隠された実際には周辺諸国の日本への同化であり、日本がアジアに同化していくという発想が欠如していた。大東亜厚底共栄圏という表題にもこうしたニュアンスがある。大東亜共栄圏の構想は全くの失敗に終わったわけだが、今また同じような発想で中国大陸市場に向かえば同じような結果が待っているような気がする。■
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