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COVID-19(新型コロナ肺炎)の経済への影響最新(3.14)予測

本ページでは日本や世界の経済や社会の話題について、わかりやすくかつ漏れのない解説をめざすYoutubeチャンネルオーズ・リサーチ・ラボ掲載の動画の内容をご紹介しています。原則週に1本新作が掲載されますので、ぜひチャンネル登録を!

1. 中国経済への影響

まず、新型コロナ肺炎が中国経済に及ぼす影響についてです。

2月下旬から新型コロナ肺炎の影響を反映した経済指標が出始めました。

2月29日に発表された2月の製造業PMIは1月の50から35.7へと急落し、非製造業PMIも1月の54.1から29.6へと、衝撃的といっていい落ち込みとなりました。

2月には発表がなかった貿易統計が3月7日に2か月分まとめて発表されました。1月と2月の輸出は2,924億ドルで前年比で17.2%も減少しました。輸入は2,995億ドル、4%の減少でした。

輸出の大幅な落ち込みも労働者や原材料の不足により中国の製造業の生産がひどく落ち込んだことのあらわれです。一方で輸入の減少はわずかですが、これは、食料品など生活に必需のものの需要はあまり変化せず、医療器具などは却って輸入が増加したからです。また、輸入が安定していることは、新型コロナ肺炎による混乱のなかでも物流はちゃんと機能していることを示しているといえるでしょう。

3月10日には2月の物価指数が発表されました。消費者物価指数は前年から5.2%上昇しましたが、これは昨年夏から流行したアフリカ豚熱による豚肉価格上昇によるところが大きく、豚肉だけで消費者物価指数を3.19ポイントも引き上げています。卸売物価指数は0.4%下落しました。新型コロナ肺炎による物価上昇はほとんどないといえ、これも中国の物流が正常に機能していることの証と言えそうです。

新型コロナ肺炎が中国の人々の行動にどのような影響を与えているか、大手検索サイト、バイドゥーが地図利用者から収集したビッグデータで、ある程度把握することができます。

図は春節休暇期間前後の全国の人の移動の状況を示したものです。これによれば春節前に故郷へ帰った人々が春節が終わってもなかなか都市部へ戻ってこず、2月下旬になってようやく人が戻り始めたことがわかります。

この図は上海しないの人々の移動状況を示したものです。延長された春節休暇期間が終わり2月10日の週から人の動きが始まりますが、その人数は去年の半分を大きく下回っていました。その後徐々に市内を出歩く人が増え、3月2日の週になって平日の人出が去年の週末なみとなりました。しかし去年の平日と比べるとまだ3割ほど少ないということがわかります。

さて、当ラボでは、2月17日の動画で、仮に政府が全く経済対策を採らないとすれば、民間消費の落ち込みの影響で成長率が3%台半ばになるとしました。中国では新規の感染者数が落ち着いてきており、消費は想定したとおりに回復していくと思われることからこの予測を変更しませんが、生産の停滞がかなり深刻であることや、あとでお話しするように、世界経済の雲行きが怪しくなっており、輸出を増やして国内の需要不足を補うことも難しいことなどから、経済の状況は一層悪い可能性もあります。

中国政府は成長率が6%を大きく下回ると新卒者の就職が困難になることなどから社会が不安定になると考えており、よって経済の大きな落ち込みを避けるため積極的な経済対策を打つと思われます。

実際、中国政府は1月下旬より複数の経済対策を打っています。マクロ経済政策としては中国人民銀行が1月31日に3000億元の低金利再貸し出し制度を設立し、また、2月3、4日の2日間で合計1兆7千億元という大規模な資金放出を行っています。

生産の遅れは4月になればほぼ正常に戻り、消費の停滞も夏には終わり、ねん、の後半には中国経済は急速に回復すると予想されます。しかしもし多数の中小企業が資金繰りにきゅうし、連鎖的に倒産するような事態が起これば、中国経済は深刻な不況に陥るかもしれません。社会情勢が不安定になる恐れもあります。感染の押さえ込みが第一ですが、経済面での対策も非常に重要になってきています。


2. 世界経済への影響

次に世界経済への影響を考えてみましょう。

2月21日の動画では新型コロナ肺炎をきっかけとしてアメリカ株式市場が急落すれば世界経済が落ち込む恐れがあることを指摘しましたが、アメリカ株式市場の急落は現実となってしまいました。

加えて、感染が世界規模で広がり、人の移動が止まり、サプライチェーンが寸断されています。世界経済が一定の影響を受けることはもはや避けられそうにありません。

国際機関が出している世界経済の見通しも軒並み引き下げられています。

3月2日、OECDは2020年の世界のGDP成長率について、昨年11月に発表した見通しから0.5ポイント下方修正し2.4%と予測しました。また、感染が北米や欧州などに広がる場合はさらに1ポイント下がると分析しています。

3月6日には、アジア開発銀行が、世界のGDPは、感染が3月下旬に終息するケースでは0.1%、4月下旬に終息するケースでは0.2%、終息が7月下旬までずれ込むケースでは0.4%押し下げられるとの予測を発表しました。

IMFは1月時点では2020年の世界経済の成長率を3.3%と予測していましたが、日本経済新聞によると、それを2%台へ引き下げる方向とのことです。この記事によれば世界経済は成長率が3%に届かなければ危険サインがともり、2.5%を下回れば不況といえるとのことです。2019年は米中貿易戦争の影響を受け低い伸びとなったので、2020年も低成長となって2年連続で3%を下回れば、世界は湾岸戦争以来の景気低迷期に入ったことになります。


3. 日本経済への影響

最後に、日本経済についてみてみましょう。

当ラボでは2月27日の動画で日本経済の受ける損失を2兆6千億円と試算しました。しかしそれ以降に、小学校などが休校となって、国民が不要不急の外出を控えるようになり、中国、韓国からの渡航者全員に隔離措置がとられるなどの変化がありました。これらにより新型コロナ肺炎が日本経済に及ぼす負の影響は一層大きくなったと考えざるを得ません。

2月27日の動画では、東日本大震災発生の翌月に消費自粛ムードにより消費が2%ほど落ち込んだことを参考にして、新型コロナ肺炎でも消費が1ヶ月間2%落ち込むと仮定し、5,000億円の消費、減少を見込みました。

しかし、東日本大震災のときは、まもなく「復興のためには消費を自粛すべきではない、といわれるようになり、消費自粛ムードは短期間で下火になったのに対し、今回の消費抑制は、自粛ムードによるものというよりも自分自身の防衛や社会の感染拡大防止のためのものなので、短期で下火にはならないと思われます。

そこで消費低迷の期間を3ヶ月間とし、また、新型コロナ肺炎での消費低迷は全国規模なので、消費低迷の大きさは2.4倍になるとすると、3.6兆円の消費落ち込みが見込まれることになります。

ただし、一般的に、消費が減少すれば輸入も減少します。消費減少額がこれほど大きくなればGDPの下押し額を計算するうえでは輸入減少分を無視できません。その分を勘案すると、消費低迷によるGDP押し下げがくは2兆6千億円と見込めます。

次にインバウンドについては、2月27日の動画では、インバウンド、減少によりGDPが1兆2千億円押し下げられると試算しましたが、中国、韓国からの渡航者全員に対する隔離措置を受け、中国からの観光客が2ヶ月間ゼロになると仮定して計算しなおすと、GDPの下押し額は1兆3000億円と試算できます。

これに2月27日の動画で試算した中国への輸出減少によるGDP下押し額9000億円を加えると日本の経済損失額は4兆8千億円となります。これは日本のGDPの0.9%に当たります。2月27日動画と同様に新型コロナ肺炎が発生していなかった場合の成長率を0.5%とすると、日本は2020年に0.4%のマイナス成長に陥るとの結果が出ます。

なおこの試算には、第2章で述べた世界経済、減速の影響を考慮に入れていません。このところ、アメリカ等の景気減速懸念を背景にして急速に円高が進んでいますが、世界経済の減速は円高を通じて日本経済に伝播しますので、今年の成長率はさらに下おしされる可能性があります。

2月に発表された2019年10から12月期のGDP成長率は6.3%ものマイナスとなり、消費税増税後の消費低迷により日本経済の状況は思いのほかによくないことがあきらかになっています。そこに新型コロナ肺炎の影響が加わることにより、日本経済は景気後退期入りする可能性が濃厚と言わざるを得ません。

some clues...

省略(動画本編でご覧ください)

 


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