COVID-19(新型コロナ肺炎)緊急事態宣言とは
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1. 新型インフルエンザ特措法導入の経緯
新型インフルエンザ等対策特別措置法は、新型インフルエンザへの対策を定めることにより、国民の健康を保護し、生活や経済が受ける影響を最小にすることを目的とする法律です。
WHOがパンデミック宣言を出した2009年のインフルエンザ、流行時に、政府の対応が混乱したことを踏まえて検討が開始され、民主党政権下の2012年4月に成立しました。5月に公布され、その1年後に施行される予定でしたが、翌2013年に鳥インフルエンザが大流行したことから予定より1ヶ月早い2013年4月に施行されました。
なお、2013年の施行以来、同法が定める緊急事態宣言が発動されたことは2020年3月15日現在一度もありません。
この法律のもともとの適用対象は感染症法の第6条第7項のインフルエンザか同じく第9項の新感染症です。つまり、新型コロナ肺炎は感染症法第6条第8項の指定感染症なので、新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用対象ではありませんでした。
そこで2020年3月、新型コロナ肺炎を2年間限定で新型インフルエンザとみなすことで適用対象とする法改正が行われました。政府の法案提出が3月10日、法律成立が13日、施行が14日と、新型コロナ肺炎が大流行するなかで緊急的になされた改正でした。
2. 緊急事態宣言の私たちの生活への影響は?
では緊急事態が宣言されると私たちの生活はどのような影響を受けるでしょうか。
例えば都道府県知事が住民に対して必要最低限の場合以外の外出をしないよう要請できるようになります。また、学校映画館などの施設の管理者やイベントの開催者に施設の使用、停止を要請できます。それから臨時の病院を作るために土地や建物などを所有者の同意を得て使用でき、正当な理由がないのに同意しない場合や所在がわからなくて同意を得られないときは同意なしで使用することができます。
新型コロナ肺炎の感染拡大のなかでマスクの品薄状態が続いていますが、緊急事態宣言をすれば、物資の売渡しの要請をすることができ、正当な理由なく要請に応じない場合は強制的に収用することもできます。また、物資確保のため必要があれば保管を命じることができます。
なお3月上旬には不当な価格での転売が横行し、政府は国民生活安定緊急措置法に基づいてマスクの転売を禁止しましたが、新型インフルエンザ等対策措置法は、各行政機関の長が国民生活安定緊急措置法等の規定に基づく措置を講じることを求めています。
その他、住民に対する公費負担での予防接種の実施、鉄道、運送会社などへの医薬品など緊急物資の運送の指示、法律で定められた埋葬・火葬の手続きの特例の制定などの対策が必要に応じて発動されます。
3. いつ緊急事態を宣言できるの?
では、緊急事態宣言はどのようなときに出されるのでしょうか。私たちの自由に制限が加えられ基本的人権が制約されることになるので、緊急事態の宣言は慎重になされなければなりません。そのことは新型インフルエンザ等対策特別措置法の第5条に明記されています。
それを踏まえて新型インフルエンザ等対策特別措置法は、緊急事態宣言が出されるときについて新型インフルエンザが国内で発生し、それが全国的かつ急速に蔓延し、その結果国民生活や国民経済が甚大な影響を受けるおそれがあるときとしています。
また同法施行令は、対象となるインフルエンザは、重篤である症例の発生頻度が、通常のインフルエンザに比べてかなり高いインフルエンザであるとし、感染経路を特定できないか、患者がウイルスを蔓延させる行動をとっていたことが緊急事態宣言の要件であるとしています。
なお、重篤である症例の発生頻度が季節性のインフルエンザに比べて相当程度高いといっても、どの程度高ければいいのか明確ではないことなど、緊急事態が宣言される条件にはあいまいさがあり、結局は法第5条の基本的人権尊重の考えに基礎を起きつつ専門家の科学的意見を参考にして、適宜、判断されることになります。
Some clues...
省略(動画本編でご覧ください)