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日本の税収史上最高額!取りすぎた税は一律給付金で返す?〜コーヒーブレイクしながらわかる

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税収過去最高を更新!

2022年度の国の税収は、71.1兆円となり、史上最高額となりました。2021年度に比べて3.7兆円多く、3年連続で過去最高額を更新しました。 もともと2022年度は65.2兆円の税収が見込まれていました。 しかしそれを、6兆円近くも上回ったのです。

税収が当初の想定を超えて増えた理由は、まず、物価の上昇で国民の消費の金額が、前の年に比べて5.5%も増えており、その結果、消費税収が前年度比5%増と大きく増加したためです。 また、経済が、コロナ下からの回復でうわむき、急激な円安もあって大企業を中心に企業業績が好調だったため、法人税も前年度比+10%と堅調でした。

さらに、好調な企業業績を背景に配当収入が増えたことや、賃上げで給与所得も多少増えたことから、所得税も前年度比5%の増収となりました。

税収が当初の想定を超過するのは珍しいことではありません。 グラフは、実際の税収が当初予算の税収を上回った金額を・当初予算の税収で割った比率の推移です。頻繁に実際の税収が当初予算を上回っていることがわかります。

ただし、当初予算を10%前後も超過したのは、2022年と2020年の前は、1987年、つまり、バブル真っ只中の時まで遡らなければならず、最近の超過額は異常に大きいと言ってもいいでしょう。超過額が異常となった主因は、新型コロナウイルス感染症の大流行です。一時的な経済の落ち込みからの回復が急激だったことが税収を大きく押し上げました

2022年11月の補正予算の時点の税収の見込みは68.4兆円だったので、実際の税収はそれを2.8兆円上回りました。また、日本銀行の剰余金などの税外収入も1.3兆円上振れ、さらに原油・物価高予備費や新型コロナ関連の費用など11.3兆円が実際には支出されませんでした。他方で、新規の国債の発行12兆円分を取りやめたことなどから、2022年度は2.6兆円の剰余金が生じました。

つまり、2.6兆円もお金が余った、ということなのですが、2023年度はさらに大きなお金が余る可能性があります。

企業や個人が稼いだ金額が増えれば税収も増えるので、名目GDPの伸びと税収の伸びは概ね比例します。名目GDPが1%増えた時に、税収が何%増えるかを示す数値を・税収の弾性値といいます。税収の弾性値は、1から4程度の間で変動する傾向があります。 ちなみに2022年は、税収が5.5%増えたのに対し、名目GDP成長率は1.3%だったので、弾性値は4を少し超えました。

2023年度は、株価が大きく上昇しているので、譲渡所得税が大きく伸びるでしょうし、4月以降、賃金の上昇が始まり、累進課税制度のもとで、賃金の伸び以上に個人所得税が増えると見込まれることなどから、2023年度の弾性値も大きくなると考えられます。

生そこで、税収の弾性値を4としてみると、2023年度の名目GDPの成長率は・民間エコノミストの予想の平均が4%で、2022年度の税収が71.1兆円なので、2023年度の税収は82兆円を超えることになります。同じく税収の弾性値を3とした場合と2とした場合をみてみると、それぞれ、79.6兆円、76.8兆円と計算することができます。

当初予算の税収は69.4兆円なので、実際の税収は、それを10兆円程度も上回ると予想することができます。


余ったお金はどうなるの?

2022年度の2.6兆円や、2023年度には・それをも上回ると考えられる・巨額の剰余金は、いったいどうなるのでしょうか?

では、残りの半分は、どうなるのでしょうか。 普通に考えれば、税金を取りすぎたのならば、税金を払った人に返すべきでしょう。とはいえ、当初予算より1.5兆円も余計に徴収してしまった消費税は、誰がいくら支払ったか把握することは不可能なので、税を払った人に、払った金額に応じて返還するということはできません。 そこで、コロナ対策の定額給付金のように、国民に一律に返還してみたらどうでしょうか。

その場合、2022年度の剰余金からは、一人当たり1万円強が戻ってくることになります。2023年度については、前の章で計算した税収弾性値が4の場合の税収が当初予算を上回る見込み金額が返金されるとすると、一人当たり5万円以上給付されることになります。

法人から徴収した税金を・個人に返してしまうことには疑問もあるかもしれません。しかし、円安の恩恵を受けて、法人が利益を上げている一方で、個人は・円安がその一因である物価の上昇に対し・賃金の上昇が遅れており日々貧しくなっていっています。また、個人のなかでも、株価の上昇で富裕層は潤っていますので、個人に一律同額のお金を返すというのも、租税の所得再分配機能の観点から、あながち悪い政策とは言えないでしょう。

しかし実際には、剰余金の半分は、防衛費の増額のために支出されることになりそうです。 ロシアのウクライナ侵攻や、東アジアの安全保障環境の変化などを背景にして、岸田首相は、防衛費の大幅な増額を打ち出しています。昨年末には、2023年度から27年度の防衛費を総額43兆円とする方針が固められました。43兆円というのは、2019年度から23年度の計画の・27.5兆円より16兆円も多い金額です。

ところが、その財源については、はっきりしたことは決まっていません。政府は東日本大震災の復興予算のための復興特別所得税の税率を2.1%から1.1%に引き下げて、課税の期間を延長することで復興のための総額を維持しつつ、新たに防衛費に充てる1%の付加税を課す仕組みを検討しているようですが、それによる税収は年に2000億円程度に過ぎず、5年で16兆円程度にもなる防衛費の増額分を到底賄えません。

そのうえ増税の時期は、従来政府は2024年以降としていましたが、2025年以降に先送りされるようです。

防衛費の増額は2023年度から既に始まっており、財源の確保に目処がたっていないままでの見切り発車となっているのですが、岸田首相は、その財源として、剰余金の半分を活用しようと考えているのです。

昨今の国際情勢に鑑みれば、防衛費の増額は日本にとって重要な問題であり、おそらく必要なことなので、そのための増税はやむなしとも言えます。しかし、重要な問題なだけに、国民の十分な議論を経ずに、たまたま余った、本来は納税者に返すべきお金を安易に流用してしまうことには、問題がないとは言えないでしょう。


Some clues...

省略(動画本編でご覧ください)

 


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