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いまさら聞けないREIT(リート:不動産投資信託)〜コーヒーブレイクしながらわかる

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リートの仕組み

リートとは、リアル・エステイト・インベストメント・トラストの頭文字をとったもので、つまり、不動産投資信託のことです。

そもそも投資信託というのは、多数の投資家がお金を出し合い、ひとつの大きな資金としてまとめて、運用の専門家が各種の資産に投資をし、その運用成果を、各投資家の投資額に応じて分配する仕組みのことです。

その投資対象には株式や債券、商品、資源などさまざまなものがありますが、そのうち、不動産に特化して投資を行うのがリートです。

リートの中心となるのは、不動産投資法人という会社です。不動産投資法人は、投資家からの投資を受け入れ、その資金で不動産を所有します。

不動産投資法人はあくまで窓口で、実際の運用や事務は外部に委託しています。

どの不動産を購入するか選定したり、購入や売却、その不動産の運用、管理などは資産運用会社や、資産運用会社から委託を受けた不動産管理会社が行います。

不動産の権利証の保管やお金の出し入れなどは資産保管会社が行なっており、不動産投資法人の会計事務や納税なども会計事務所などに委託されます。

不動産投資法人は、不動産会社などの大手企業が設立する場合が多く、通常、資産運用会社は、それら大手企業の子会社です。資産運用会社の親会社は、そのリートの「スポンサー」と呼ばれます。多くのリートは、その名称に、三井不動産や三菱地所、積水ハウスといった大手企業の名称が含まれていますが、これは通常、それらの大手企業が、そのリートの資産運用会社の親会社であることを示しています。

大手不動産会社などがリートを設立する主な理由は、開発した物件を切り離し投資家に所有してもらうことで、自社は開発に専念できる、ということです。

物件を所有しなければ、地価が下落するリスクや、賃貸料が下がるリスク、空室のリスクなどを負わないで済み、安定的な企業経営が可能となります。

また、大規模なプロジェクトとなれば巨額の資金が必要となりますが、大手不動産会社は、開発した物件をリートに売却することで、投資資金をすぐに回収でき、その資金を使って、次の物件の開発にとりかかることができます。

なお、この一つ目の点から、リート投資では、通常の株式投資と同様に、投資家は会社のリスクの一部を肩代わりしており、ゆえにリート投資にはリスクが伴う、ということがわかります。

また、二点目に関連し、物件の購入の決定は、スポンサー企業の子会社である資産運用会社が行うので、スポンサー企業は、リートに対して、ほぼ思い通りの金額で物件を売ることができる、という点には注意が必要です。スポンサー企業とリートの利益が相反しているので、リートには利益相反が存在すると言われることもあります。

リートの特徴としては、次のような点を挙げることができます。

不動産投資法人は証券取引所に上場されるので、投資家はいつでも買いたいときに買い、売りたいときに売ることができます。

不動産投資証券は小口かされているので、数十万円程度で投資することができます。数万円程度で買える場合もあります。

物件を選んだり、借り手を探したり、契約したり、物件を管理したりなどは全て大手不動産会社など専門家が行うので、通常の不動産投資で必要となるさまざまな手間がありません。

通常、さまざまな物件や地域に投資するので、リスクを分散することができます。


リートのメリット&デメリット

リートの、他の投資商品と比較した場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。

まず、一般的な不動産投資と比べた場合です。

投資の対象は、一般的な不動産投資では、マンションやアパートなど住宅用不動産への投資が中心となりますが、リートでは、住宅のみならず、オフィスビルやホテル、物流倉庫、医療関連施設、再生可能エネルギー発電設備などへの投資も可能となります。日本の人口は今後減少していくので、マンションの値上がりはあまり期待できないと思っている人も、海外からの旅行者増加を期待してホテルに投資したり、オンラインショッピングの普及を予想して物流倉庫に投資したりすることもできるのです。

一般的な不動産投資では、都市部の物件であれば数千万円か、それ以上が必要となります。一方でリートは、一口当たり数十万円程度で買えますので、手元の余裕資金で無理なく投資することができます。

一般的な不動産の購入では、優良な物件を自分で探し、その市場価値を、売り手や仲介業者のことばを鵜呑みにせずに自分で調べて判断しなければなりません。リートでは、専門知識を有する専門家が、物件を購入する側の立場で物件を選定し、適切な価格で物件を取得してくれます。

一般的な不動産では、物件を購入したあとも、自分で物件を整備したり、入居者を探したり、維持管理をしたりするか、もしくは外部に委託しなくてはなりませんが、リートでは、投資家はそのような手間が一切かかりません。

一般的な不動産投資では、多額の資金がないと、複数の物件に投資をすることはできませんが、リートでは、一つの銘柄を買っただけでも、そのリートが多数の物件を所持しますので、分散投資が可能となります。

一般的な不動産では、物件を購入するのに通常何日もかかりますし、売りたいと思っても、買い手を見つけたり、手続きに非常に多くの時間がかかりますが、リートは証券取引所に上場されているので、買いたいと思った時にすぐに買え、売りたいと思ったらすぐに売ることができます。

一般的な不動産の方が優れている点は、なんといっても購入した不動産をひとりで所有でき、自分で居住したりなど、その不動産を好きなように使用できるということです。

それから、一般的な不動産は、被相続人の居住用物件であれば、一定の要件を満たせば評価額が80%減額されますし、賃貸用物件も50%減額されるので、資産を不動産に変えれば、相続税評価額をかなり圧縮することができます。一方でリートの場合は、株式と同じ扱いになるので、相続税評価額は、現金で持っている場合とほとんど変わりません。

つまりまとめると、不動産投資をしたいひとのうち、その不動産をときどき自分で使用したいと考えている人、および、相続税対策をしたい人は一般的な不動産を購入するメリットがあるけれども、単に不動産からの賃貸収入が欲しいと思っている人や賃貸料や不動産価格の値上がりを期待している人は、リートの購入を考えてみるべき、と言っていいでしょう。

次に株式投資と比べた場合です。

上場株式は、証券取引所を通じていつでも売買できる点や、数十万円程度から投資できる点で、リート投資とよく似ています。

違いのひとつは、一般的にリートのほうが利回りが高いという点です。2021年5月現在の利回りは、東京証券取引所一部上場企業は1.7%ですが、リートは4%弱と、大きく上回っています。銘柄によっては、6%以上の利回りとなることもめずらしくなく、8%を超えるようなときもあります。

リートの利回りが高い理由のひとつは、一般的な株式会社では、利益の一部が、将来の投資などのために留保されたあとの金額が配当されるのに対して、リートでは、利益のほとんど全てが投資家に分配されるからです。

また、リートは、利益の90%を超えて投資家に分配することで法人税が免除されることになっており、一般的な株式会社では税金として支払われていた分も上乗せして投資家に配当されます。

違いの二点目は、一般的に言ってリートの方が価格の変動が小さいということです。リートの主な収入源は賃貸収入なので、ヒット商品を出したりして利益を大きく伸ばすこともある一般的な株式会社と違って、収入額が短期間に大きく増えることは通常ありません。ただ一方で、賃貸契約は長期でなされることが多いので、収入額が突然大きく減るようなこともほとんどありません。このためリートの収益は比較的安定しており、よってその値動きは株式に比べて小さくなる傾向があります。


リートの銘柄の選び方

東京証券取引所には60を超えるリートが上場されていますが、そのなかからどうやって銘柄を選べばいいでしょうか。

まずは、投資するリートの種類を決めましょう。

リートには、オフィスビルに投資するオフィス系や、マンションなどに投資する住宅系、ショッピングモールなどに投資する商業施設系、倉庫などに投資する物流系、宿泊施設に投資するホテル系、医療施設系があります。それから、オフィスビルと住居というように、2種類の不動産に投資する「複合型」のリートや、3種類以上の不動産に分散投資する「総合型」のリートもあります。さらに、投資対象が不動産ではないので、正確にはリートではありませんが、似た仕組みとして、不動産太陽光発電施設などインフラ施設からの収益で分配を行うインフラファンドというのもあります。

それぞれの特徴は、オフィス系リートは、景気の影響を受けやすい傾向があります。物件が市街地に集中していますので、市街地の地価が急騰するようなときには、値上がり益を期待することもできるでしょう。日本ビルファンドやジャパンリアルエステイト、ケネディクスオフィスなどがオフィス系リートです。

住宅系リートは、景気や社会情勢と関係なく、人はどこかに住まなくてはなりませんから、比較的安定しているということができます。物件の所在地が、オフィスリートほど市街地に集中していないので、リモートワークが進めばオフィスリートより値上がりを期待できそうです。日本アコモデーションファンド、アドバンス・レジデンス、コンフォリア・レジデンシャルといった住宅系リートがあります。

商業施設系リートは、ショッピングモールなど商業施設は消費の動向に強く影響されるので、景気の影響をかなり受けやすいということができます。イオンリートやフロンティア不動産が商業施設系リートです。

物流系リートは、物流施設はテナントの入れ替わりが少ないので、比較的安定した収益を期待できます。オンラインショッピングの普及により、このところ物流系リートは人気で、そのため分配金利回りは低めとなっています。日本の不動産企業だけでなく、プロロジスやGLPといった物流系の外国企業もリートを設置しています。

ホテル系リートは、コロナ感染症によりインバウンドがほぼ全滅となり、ホテルが不調となると、分配金が大きく引き下げられ、ホテル系リートの価格は大きく下がりました。ジャパン・ホテル・リート、星野リゾート・リートなどがホテル型リートです。

インフラファンドは、2021年5月時点で、7種類のファンドが上場されており、いずれも再生可能エネルギー関連の施設に投資しています。分配金利回りは比較的高めとなっており、7種のファンドの単純平均は5%を超えています。太陽光発電施設に投資するカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人など、

銘柄を選ぶにあたっては、各リートが所持している物件についてもあらかじめみておいたほうがいいでしょう。所持物件は各リートのホームページに記載されています。各物件について詳しく調べる必要はありませんが、どの地域に物件があり、災害の被害を受けやすいかどうか、築年数はどのくらいか、稼働率はどうかといった点について概ね把握しておくべきでしょう。

一般的に言えば、株式に比べて値動きが安定しているリートですが、運営状況が悪化して破綻する可能性もあり、実際に過去に破綻した事例もあります。破綻した場合、所有不動産の売却により投資家に資金が戻る可能性もあるものの、ごく一部の金額しか戻ってこないと思っておかなければなりません。運営状況が大きく悪化する可能性が低い銘柄を選択しなければなりませんが、格付け機関が、各リートの財務状況などを評価した格付けを出していますので、それを参考とするのもいいでしょう。なお、日本銀行が、金融政策の一環でリートの買い入れを行なっていますが、AA- 以上の格付けのもののみを買い入れ対象としています。

また、リートのスポンサーがしっかりした会社なら、おかしな運営をするはずはなく、破綻のリスクは低いだろうという考え方もあります。スポンサーは各リートの説明資料で確認することができます。

株式投資で、PERやPBRといった指標が使われるように、リート投資でも各種指標を参照することができます。

銘柄を選ぶに際し、最も重要なのは利回りでしょう。むろん利回りは高いに越したことはないのですが、利回りが高い場合、高い理由があるという点には留意が必要です。通常、信用度が低い銘柄ほど利回りが高くなります。また、不動産の売却によって一時的に分配金が増えている場合や、今後賃料収入が低下し、将来の分配金利回りが下がる可能性が高い場合もあります。

株式投資での株価純資産倍率、PBRに対応するものがNAV倍率です。NAV倍率は、リートの価格が、一口当たりの純資産額の何倍かを表したもので、NAV倍率が1となるのは、仮に今リートを解散して、保有資産を簿価で売れた場合に、投資家に戻る金額と、リートの価格が同じということになります。NAV倍率が1より大きい場合は、リートの価格が一口当たりの純資産額より高いので、割高と判断でき、逆に1より小さい場合は割安ということになります。

リート投資ではLTVという指標も重要です。LTVはローン・トゥ・バリューの略で、総資産に対する有利子負債の割合のことです。LTVが高いほど、借入が大きいので、リスクが大きいということになります。

それから、株式と同様に、リートも、時価総額を知ることができ、それによってリートの規模を把握することができます。

リート相場はどう決まる?

最後に、経済の状況によって、リートの相場がどう動くかという点について見ておきましょう。

まず、リート相場は景気がよくなれば上昇、悪くなれば下落する傾向があります。

グラフは、東証リート指数に連動する上場投資信託の、2011年以降の価格の推移です。アベノミクスの開始による景気拡大局面で上昇し、コロナショックの発生で大きく下落して、その後半年ほど低迷したのち、ここにきて経済の回復基調とともに価格が上昇していることがわかります。

景気が上向くとき、オフィスの入居率が上がればオフィス系リートの、物流が活況となれば物流系リートの、消費が増えれば商業施設系リートの価格が上昇しそうです。逆に景気が悪くなれば、株式と同じように、リート価格も下がる傾向にあります。

次に、リート価格は金利の動向に影響を受けます。

国債の利回りなど市場金利が低下すると、投資家は、利回りのある資産を求めて、リートの購入に向かい、リートの価格は上昇します。逆に市場金利が上がれば、リートの魅力が小さくなるので、リートの価格は下がる傾向にあります。日本は長く金利がない状態が続いているので、金利の状況がリート価格に与える影響は小さいのですが、アメリカでは、金利がリート相場を決める大事な要素となっています。

一般的に言って、インフレはリート価格を押し上げます。インフレで、賃料が上昇すれば、リートの収入はそれに比例して増加します。また、地価が上昇すれば、リートの所有資産の価値が増加します。保有資産を売却することで利益を出すことができ、これらの結果、リートの価格が上昇します。リートはインフレに強い金融資産と言うことができます。コロナショックにより中央銀行が市場に資金を大量に投入しているので・今後インフレが発生する、と予想するのならば、インフレ・ヘッジとしてリートを購入するというのも一案でしょう。ただ、インフレにより金利が上昇すれば、リートの価格に下方圧力が加わるという点には留意が必要です。

それから、経済の構造の変化にも影響を受けます。グラフはオフィス系、住宅系、物流系、ホテル系リートそれぞれの代表的銘柄の値動きを示したものです。第3章でもお話しましたが、コロナ・ショックの発生で、いったん全ての銘柄が大きく値を下げたあと、オンライン・ショッピングの利用の増加に伴い、物流系リートは大きく上昇しました。また、リモート・ワークが進み、住環境を見直す気運が高まると、住宅系リートが好調となり、一方で、オフィスの縮小傾向が鮮明となると、オフィス系リートは低迷しました。そして、インバウンド需要の消滅で、ホテル系リートは大幅に下落しました。


Some clues...

省略(動画本編でご覧ください)

 


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