広州リッツカールトン
高級ホテルチェーンの進出が相次ぐ広州。昨年のシャングリラ、ウェスティンに続き、去る4月にリッツカールトン広州がオープンした。 リッツカールトンのウェブサイトを見ていると、なんと1泊988元(税・サービス前)、それも朝食付きかつスパ20%引というプランがある。ついでにシャングリラとウェスティンの価格も調べてみると、シャングリラはリッツカールトンと同額で、ウェスティンは200元ほど高いだけ。週末だけの特別価格かもしれないけど、相場は上海の半額程度、東京や香港に比べれば3分の1といったところだ。広州のホテルはまだまだ安い。 ウェスティンに比べてリッツカールトンとシャングリラが安いのは立地のためだろう。ホテルの質としてはこの3つ、ほとんど変わらない。ウェスティンは日本企業も多数入居する中信広場のはす向かい。広州東駅へは車で5分、歩いても10分程度というかなりいい立地。一方リッツカールトンは中信広場から南へ車で10分ほど行った珠江沿い。このあたりは将来金融センターになるとのことだけど、今は何もない。本当に何もない。周りは何本も高層ビルが建てられつつあるので、数年後は賑やかになるのかもしれないが、今のところコンビニやマッサージ店すらない。シャングリラも同様で、周囲は建設ラッシュだが、今はシャングリラがほぼ単独で建っている。 考えてみればリッツカールトンには過去に一度しか泊まったことがないように思う。中世ヨーロッパ風と言えばいいのかな、細かい装飾の多い大振りの家具の備えられた部屋は時代錯誤のようで、少々戸惑った。右の部屋の写真と、シャングリラ、ウェスティンの記事に載せた写真を比べてみれば部屋の雰囲気がずいぶんと違うことが一目瞭然。ちょうどマカオのベネチアンがこんな感じである。趣味の問題であり、こういう部屋のほうが好きな人もいるのだろうけれども、少なくともなんでも無駄なことがきらいな僕には…… ふかふかなベッド、大きな液晶テレビ、広めのバスルームなどはシャングリラやウェスティンに勝るとも劣らない。ウォークインクローゼットの分、占有面積は他のチェーンを凌ぐかもしれない。バスルームにも小さな液晶テレビがあり風呂につかりながらテレビを見ることができる。DVD機やi podのデッキなども備え付けられている。 NHK BS1とBS2、それにWOWOW視聴可。インターネットが有料なのが玉に瑕かなぁ。接続1時間60元、24時間120元。 フロントまわりはこじんまりとしているが、仰々しくないのがいい。一方で各レストラン(中華・西洋・カフェレストランの3つ)の内装は高級感があり、価格からしても広州一の高級レストランということになるかもしれない。3階のバーは落ち着いておりくつろげる。ロビー横のカフェでは夕方、ピアノ、バイオリン、ヴィオラ、チェロによる演奏がある。 サービスがウリといっていいのだろう。ドアマンやフロントはもちろんのこと、ハウスキィーピングのスタッフだっていつでも笑顔で親切。こちらが中国語の音を発さない限り、ホテル中どこでも英語のみである。ただ、中国語を話すと、判で押したかのように「中国語がしゃべれるんですね。中国に来てどのくらいですか?」との質問が返ってくる。こちらはそれに対して毎度同じ説明をしなくてはならない。録音しておいてボタン一つで回答したいほどで、少々ウザイ。 うれしかったのは、チェックインの際に荷物を部屋に運んでくれたボーイに「朝食は6時から」と聞き、「明日はゴルフで朝5時50分発なんだよ。朝食込みなのに食べられないなぁ」とぼやいたら、部屋に入ってすぐフロントより電話があり、「6時前に出発するそうですね。朝食を部屋までお運びします」と連絡があったこと。ボヤキ程度でも客のニーズをつかんで、すぐに特別サービスを用意するところはさすが。翌朝5時20分に焼きたての卵とトースト、コーヒーなどの朝食が届けられた。 一方で大いに不満だったのがスパ。メニュー上の価格は、マッサージ1時間で580元、90分で780元と、上海の同様のスパに比べればずいぶんとリーズナブルだが、個室が寒すぎたり、音楽が大きすぎたり、部屋の内装も無味乾燥だったり。それから、たまたまそういうセラピストだった、ということなのかもしれないけれども、、マッサージの力が強すぎ時々痛いなど、技術もいただけなかった。まあ、スパは乱立しすぎだよね。最近中国でどのスパに行っても不満が残る。タイ人セラピストがいればいいのだけれど、中国人セラピストの多くは研修も不十分なままに違いない。 満足できずに清算へ。そこでサインを求められた伝票には、宿泊パッケージに含まれている20%ディスカウントが反映されていない。指摘するも「レジデンスの住人にはディスカウントはあるが、ホテルゲストには割引はない」との答えだ。割引があるのは確かなので、フロントに確認するよう求めるものの、「割引はありえない。どうしてもというなら、ホテルにE-mailを送れ」などと全くもってケシカラン対応である。一度したサインを上から消した上で、「じゃあ、パソコンに送られてきた予約確認票を見せる」と言い、わざわざ部屋までいってパソコンをとってきた。画面を見せ「ちょっと勉強しなさい」と一言いってからスパをあとにした(チェックアウト時にはちゃんと20%引きが反映されていた)。 オープン直後でパッケージ情報などの伝達がうまくいっていなかったのだろうけれども、客の主張をまったく聞こうともしない態度は全くもってよろしくない。 プールは屋外で、ヒーティングとのことだが、おそらく冬だけなのだろう。6月上旬の雨模様の日、気温23度程度だったが、温められてはいなかったようだ。プールに食い込むように温水のジャグジーがあり、ロッカールームにはスチームサウナがある(普通のサウナはない)。 ジムは24時間利用可能。 低層階はサービスアパートメントになっている。大学の先輩Nさんが住んでおられるので、他の方の送別会中とのことだったのだが、お邪魔させていただいた。2LDKだが、リビング、ベッドルームともに広く、クローゼットや廊下部分などもかなり余裕をもって作られている(おそらく全部で150平米ほど)。備え付けの家具がりっぱで、5スピーカーの音響施設や、装飾の壺、トースターやコーヒーメーカーまで家賃に含まれているのだそうだ。タオルやシーツもホテルと共用のものを毎日交換してくれる。その家賃、そんなに高いわけではない。むしろサービス面まで考え合わせれば安いくらいだ。ただし、周辺には何もないので、それをどう考えるかだが。 ■ (2008年6月記) |