TOP > 大薗治夫 > 編集長's EYE > (すくなくとも今は)広州最高級ホテルとはいえないかな~ウェスティン広州

本ページでは他サイト等に掲載された大薗治夫の過去の著作物を再掲しています。

(すくなくとも今は)広州最高級ホテルとはいえないかな~ウェスティン広州

(2007年6月記。2007年7月加筆)







広々としたゲストルーム。
ベッドは快適睡眠間違いない「ヘブンベッド」



(おそらく)Herman Miller制の椅子



この窓の左下に紙のようなものが
付着している。右上のも貴方の
モニタが汚れているわけでなく、
窓の汚れ。



エレベーターホール

広州に高級ホテル開業ラッシュの第二段として去る5月20日、ウェスティン広州がオープンした。

場所は広州のビジネス街である天河エリア。日系企業も多数入居する中信広場から徒歩わずか2分程のところだ。先にオープンしたシャングリラは国際展示会場そばで、市中心からは不便な場所なので、立地ではウェスティンに軍配が上がる。

部屋はシャングリラと同様に広く、またシャングリラについて書いた時には、バスルームとベッドルームの間の壁を取り払えばいいのに、と書いたが、こちらはバスタブでお湯につかりながらベッドルームのテレビを見ることもできる。執務用デスクに備えられた椅子は(おそらく)Herman Millerのアーロンチェア。これで約15万円。ベッドはウェスティン自慢のふかふか「ヘブンベッド」。このベッドだけでも泊まる価値があると思う。販売用に部屋に置かれた価格表によれば18,000元=約27万円。無料でドリップコーヒーを飲めるコーヒーメーカーが備え付けられているのもうれしい。

とここまではとっても好印象。ところが……

窓に、右写真のとおり何やら付着していて、折角の高層からの景観が台無しだ。バスローブがかなり分厚く重くて着ているとだんだん肩が凝ってくる。テッシュがバスタブの脇の置かれていて、バスタブでテッィシュを使うなんてことはまずないだろうし、そのままそこでシャワーを浴びたらテッィシュが一箱ビショビショになってしまう……

不満な点は続く。部屋が異常に寒い。16度に設定されていた。部屋に入ってすぐにエアコンを切ったのだけれども、翌日朝まで部屋は寒いままだった。廊下も同様に寒い。ホテル中どこにいても冷蔵庫の中にいるようだ。

オープン当初だからといって、施設の多くがオープンしていないというのはどうなんだろう。泳ぎたかったのにプールがオープンしていない。ジムもまだ。最上階(40階)のイタリアレストランに行こうとエレベーターに乗り、40階で扉が開いたらその向こうは板で塞がれていた。

2階のカフェでは昼265元、夜300元のビュッフェがある。これもよくないなぁ。カボチャのスープは味がしない。野菜炒めを食べていたらガリガリっと何か硬いものを噛んでしまった。寿司の海苔がしけっている。皿をもったら裏に異物感があり、ひっくり返したら乾燥した食べ物がくっついていた……

チェックイン時、デポジットを要求されなかった。スターウッズ系列のホテルではインターネットで予約するとチェックイン時のみならずチェックアウトの時もクレジットカードを取り出さなくてもいいことがあるので(予約時に登録したクレジットカードに料金がチャージされる)、今回もそうなのかな、と思っていたところ、夜10時頃、外から戻りフロント前を歩いていたら呼び止められ、「すいません。デポジットをいただきたいのですが」と言われた。

チェックアウトをしようとフロントのカウンターの前で、スタッフの電話が終わるのを待っていたところ、そのスタッフは、ちょうど電話が終わった時に横から割り込んできた客の相手を先に始めた。オイオイ、こちらは君の電話が終わるのをずっと待っていたのだよ。清算額の確認時、ユニセフの募金の8元が含まれていた。スターウッズのホテルではどこでもこの募金があるが、事前の断りなく勘定に入れているのがちょっと気に食わず消すように頼んだ。フロントスタッフはすぐに了解したのに、クレジットカードの伝票にはその8元が入った価格になっている。間違いを指摘すると、その後延々と10分くらい待たされた後、マネジャーと思われる女性がやってきて、(そういう処理でいいかどうかを聞くでもなく)「現金で8元払う」と言われた。

要は準備不足でオープンしたということだ。サービスも熱心さは伝わってくるけれども、なんとも不慣れな感じ。ロビーに立っているだけで次から次へとスタッフに声をかけられるのもわずらわしい。

計画よりも準備が遅れやむを得ず、ということなのかもしれないけれども、こういう状態で営業を始めてしまうというのもどうなんだろう。少なくとも僕のウェスティンホテルに対する印象をすっかり悪くしてしまった。広州一の最高級ホテルが登場するものと期待していただけに残念。


◆2007年7月追記

と、酷評したにも関わらず、立地の便利さと「ヘブンベッド」の気持ちのよさ、そして他のウェスティンに比べた安さにつられ、3ヶ月で3回も泊まってしまった。

この間にプールとジムがオープンした。ロッカールームはだだっ広くてちょっとおかしな感じだけれども、屋外プールは中信広場をまぢかに見上げる、まさしく「都会のオアシス」のような空間で、プールサイドのチェアもふかふかで気持ちがよく、かなり高い評価をしてもいいと思う。屋外プールのすぐとなりに屋内プールがあるが、こちらは小さく(縦15メートルくらい)、エキササイズとして泳ぐには物足りないだろう。

滞在のたびに1階キューババーに行って、このバー自慢の「モヒト」を飲む。ミントの香りのカクテルで、酷暑の広州で疲れた夜に飲むのに最適なさわやかな味。


 

DATA

ウェスティン広州
The Westin Guangzhou
广州天誉威斯汀酒店


住所:広州市天河区林和中路6

電話:020-28866868




編集長's EYE バックナンバー


16世紀の広西壮族のスーパーヒロイン瓦氏夫人をモデルとして描く大河小説。
2021年12月28日第2版発行



技術の進歩が社会にもたらす不可思議を描くショートショート8本。
2019年6月17日刊行



近代外交経済小説の表題作および『ステーツマン』『上海ノース・ステーション』の三篇を収録
2017年5月15日刊行



連作『倭寇の海』第一弾。嘉靖大倭寇に最初に挑んだ英傑、朱紈の物語。東洋一の密貿易基地で海賊の巣窟、双嶼を攻略する……
2016年2月18日刊行



キャンパスの花は魔性の間諜か?平和の女神か?
2014年1月18日刊行



天才エコノミストが通貨の力で戦争を戦い、通貨の力で戦争を終わらせる……

Copyright(C) since 2011 OZ CAPITAL LTD.