(2007年10月記、2007年12月、2009年4月追記)
大きすぎて結構離れても全景がなかなか入らない。
ロビーからカジノへ続く廊下の天井。
ベットにクッションがいっぱいのっているのにベットメークにこないので、まわりにほっぽって寝た
部屋の奥はリビングスペース
広いバスルーム
カジノ中央にある吹き抜け部分
ゴンドラの船頭は明るく歌っているが、肉体労働だし単純な仕事で結構しんどいに違いない
屋外のゴンドラライドはあまり楽しそうではない
セント・マークス・スクエア。青空は実は天井に描かれたもの
セント・マークス・スクエアでは12~22時の間、「カーニバル」の衣装に身を包んだパフォーマーによる演奏や歌などが行われる
いろいろ選べるフードコート。でもちょっと高い
週末にビヨンセのコンサートが行われる
開発はまだまだ続く……
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マカオは大陸側から、フェリーターミナルやリスボア、サンズ等主要なカジノの多くが立地するマカオ半島、空港のあるタイパ島、ビーチがあるコロアン島の3つの部分から成るが、タイパ島とコロアン島の間はつながっており、その連結部分はコタイとよばれている。コタイ地区は元来何もない平地で、ベネチアン(威尼斯人)マカオリゾートはこの巨大な敷地に建てられた大型リゾート。空港から近く車で数分。香港からのフェリーが発着するフェリーターミナルはマカオ半島にあるので長い橋を越えてこなくてはならないが、マカオはとっても小さく、途中、道も混まないので、15分もかからず行くことができる。タクシーならMOP50(約750円)ほど。無料のシャトルバスもある。
2009年4月追記:さらに、香港からタイパ島へ直行するフェリーが運航を始めた。タイパ島のフェリーターミナルからベネチアンへは、頻繁に出ている無料シャトルバスで10分ほど。ちなみにこのタイパ島直行フェリーは、香港側は、マカオ半島へのフェリーと同じ、北環駅近くの「香港マカオフェリーターミナル」発着である。
まずはBusinessWeekウェブサイト(http://www.businessweek.com/)掲載記事(「Betting Big on China's Vegas, by Frederik Balfour, 2007年8月28日付)などからマカオのカジノ事情とベネチアン・マカオ・リゾートについておさらい。
従来マカオのカジノ市場はスタンレー・ホー氏により独占されていたが、2001年、アメリカのラスベガス・サンズ社(会長兼CEO:Sheldon Adelson氏)とウィン・リゾート社に対してマカオ政府からカジノ経営権が付与された。2004年にラスベガス・サンズ社が、マカオ初の本格的ラスベガス式カジノ「サンズ(金沙)・マカオ」をフェリーターミナルのそばにオープン。2006年にはスタンレー・ホー氏の老舗マカオ「リズボア」の前に第一期投資額12億ドルの「ウィン(永利)・マカオ」がオープンした。そして去る2007年8月、ラスベガス・サンズ社による総工費24億ドルという巨大カジノ、ベネチアン・マカオ・リゾートがオープン。さらに年内にはMGM・ミラージュ社もウィンのすぐ裏(東側の海沿い)に「MGMグランド」をオープンする予定。ちなみにラスベガス・サンズ社は2009年までに総額120億ドルを投じて、全部で14のカジノホテルを建てるのだという。マカオのカジノ市場は急拡大しており、2006年の収入は70億ドルとなり、ラスベガスの66億ドルを抜いたのだとか。
ロビーに入ると人、人、人……人の多さに圧倒される、珠海から拱北のボーダーを越えてきた人には人ごみに対する免疫ができていてちょうどいいかもしれないけれども、香港から入ってきた人には、人に酔うような感じを覚えるに違いない。話し声が壁で反響するので、騒々しさも相当なもの。ロビーまわりの他、3階のショッピングモールもむちゃくちゃ人が多いが、どうやらマカオの観光スポットということになっているようで、カジノも宿泊も関係ない人たちが大半を占めているようだ。
客室のある高層の建物の東側にカジノやショッピングモールが入る低層の建物がある、さらにその東側にロビーのがある建物があり、それらがつながっている。すなわちロビーから客室のある建物のエレベーターホールへは巨大なカジノフロアを抜けていくことになる。カジノは当然子供(18歳未満)は入れないので、子供連れの場合は、ロビーから3階に上がり、3階のショッピングモールを抜けて行かなくてはならない。ホテルロビーの位置が適切とは思い難い。ウェストエントランスというのがあって、そちらでチェックインすればカジノを通らずにエレベーターホールに行くことができるが、ウェストエントランスはシャトルバスや団体バスの発着場となっており、メインロビーに勝るとも劣らずごったがえしている。
部屋は全室スウィートとあってかなり広い。最小でも70平米とのこと。最低価格の部屋で比べればウィン・マカオより安いが、面積はこちらのほうが広い。ソファ、執務用デスク、ブロードバンド回線(MOP160/日)、トイレ・シャワーがセパレートで化粧台もあるバスルームなどに加え、なぜか一枚だけ紙が入っている複合機(コピー、ファックス、印刷ができる)もある。テレビはNHK視聴可(BS1、BS2はダメ)(ちょうどこれを書いている後ろでは日本シリーズの第二戦の放送をやっている)。この広さと設備で平日なら時にHKD1500(約2万円)程度で泊まれるのは安いといってもいいだろう(ただし週末はHKD3000超まで跳ね上がる)。
カジノフロアは巨大で43万平米もあり、スロットマシンは3000台、ゲームテーブルは1000台もあるのだそうだ。ただ、やはり訪問者の多くはカジノで遊ばずに帰っていくのだろう、特に深夜や午前中はちょっと閑散している感じもある。
レートが高く、ブラックジャックやバカラの最低掛け金はHKD200(他のカジノではHKD100のところが多い)。マカオに来るたびにカジノでのお金の飛び交い方には戸惑ってしまう。ちょっとネットで検索してみたところ、最低掛け金は最悪負けてもいいと考える金額の800分の1とするのが理想、というのを見つけた。ということはHKD200のテーブルに座っている人の予算はHKD160000=240万円!僕もこの歳だし、人並みの収入と貯金はあるつもりだけど、ちょっとついていけない。一回の滞在で損してもぎりぎり許せると思える金額をその10分の1くらい、とすると、今の収入が10倍くらいにならないとベネチアンのカジノに踏み入れるべきではない?もちろん僕の収入の10倍の人もいっぱいいるだろうけれども、VIPルームの外の普通のテーブルについている人たちがみんなそうとは思えない。中国人と日本人の違いを述べるのはあまり好きではないけれども、ゴルフの時のチョコレートの大きさが全然違うことからもわかるように、どう考えてもリスクに対する間隔が違う。
これを読んでいる中国人の恋人がいる日本人男性へ忠告です。中国人の恋人とカジノへ行くのは絶対にやめましょう(奥様なら別です)。そもそもリスク概念が違う上に、家計が別となると、悲しくなるほどお金を使われるに違いありません。その上あなたは見栄をはって彼女の資金需要に応え続けなければならないでしょうし。
2007年12月加筆:2007年12月現在、他のカジノと同様HKD100のテーブルが多数できていた。大小についてはHKD50、ルーレットについてはHKD25というのもあった。さすがに最低掛け金HKD200というのは高すぎるよね。
前掲のビジネスウィーク誌によれば、テーブルゲームからの収入は、ラスベガスでは50%以下(すなわち客が小銭しか落とさないスロットマシンからの収入が半分以上)なのに対して、マカオでは実に96.9%なのだそうだ。それも最低掛け金HKD50万ドル(!)のバカラで全カジノ収入の85%に達するのだとか。
カジノフロアを囲むように、きれいなレストランが並んでいる。フロア内にあるバー「ベリーニ」には舞台があり歌手が歌い続けていた。フロアの中心には24時間オープンの点心店と麺店がある。
3階の「グランドキャナルショップス」は大きなショッピングモール。ちょうどカジノの上が丸々モールになっている。店の数は350超で、オープン直後だというのにかなりの程度がちゃんとオープンしているように見える(といってもパンフレットと見比べてみれば、実は半分くらいしかオープンしていないようだけれども)。上海や香港の大型ショッピングモールに入っているようなブランドが一通り入っている感じ。フランス・イタリアのアパレル一流ブランドはみかけなかったが、大衆有名ブランドが軒を並べている。レストランの数は35(予定では。今のところ4分の1もオープンしていない)。またフードコートがあり、値段はちょっと高い感じがするが(うどんでMOP40=600円)、スパゲティ、ハンバーガー、小龍包、すし、うどん、石焼ビビンバなどの店が並んでおり、気軽に食事をすることができる。
ベネチアンリゾートの広告でよく見るゴンドラ・ライドは3階ショッピングモール内とホテル前の池にある。ショッピングモール内のものはベニス風ということで、小橋がかかる細い運河のまわりにヨーロッパ風の建物が並び、天井には雲が流れる青空が描かれている。有料で大人MOP120、子供MOP80と結構高い。さすがに大量の観光客もこれはおもしろいとは思わないのだろう、時々誰も乗せていないゴンドラが行き来していた。特に屋内のものは、岸から見知らぬ観光客に写真を撮られる恥ずかしさに耐えなくてはならないし。
プールは屋外プールが敷地の南側にあるのだけれども、建物が大きいだけに、建物の中を貫く廊下を延々と歩いていかなくてはならない。途中何もないし、人ともすれ違わないので「オープン直後でプールはまだやっていないのかな」と不安になってしまったほどだ。5分ほど歩いてたどりついた先にはシャワーや着替えの場所はあるがロッカーはなく、脱いだ衣服は自分でプールサイドまで持っていかなくてはならない。プールは25メートルほどのプールと18歳以上専用の15メートルほどのプール(大人専用ということは縦に泳ぐ、ということだろうに、なぜこんなに短い!)、さらにジャグジーがある(ぬるすぎ)。
その他、5階にはスパと子供の遊戯施設がある「Qube」、8階にはジムがある。また、ホテルの南側にはかなり大きなコンベンション施設と劇場がある。ラスベガスは昨今テーマパークシティからコンベンションシティへ重心を動かしつつあるということだが、ベネチアンマカオリゾートは、おそらくマカオ初のコンベンションにも力を入れたホテルだ。劇場では一流のショーが開かれる予定とのこと。僕が訪れた次の週末にはビヨンセのコンサートが行われるとのことで、方々に宣伝ののぼりが掲げられていた。
2009年4月加筆:2009年4月現在、シルク・ドゥ・ソレイユが専用サーカス場にて常駐上演されている。
総論としては、話題の巨大娯楽施設を見るために1泊するにはいいけれども……というところかな。東方(オリエント)ゴルフ場がすぐ隣なので、昼はゴルフ。夕刻はショッピングモールの中をぶらぶらして、夕食は1階の高級レストランで。夕食後はカジノ。ただ2泊以上はよっぽどのカジノ好きでもなければ、すくなくとも今はきついかな。ホテルのまわりになにもないので、リスボア周辺のようにカジノを選り取りみどりというわけにはいかないし(最低掛け金HKD200を嫌っても、選択の余地がない)、ちょっと歩いて、小さくてうまいポルトガル料理店に行くということもできない。「オレはノム派でもウツ派でもなく……」という人にとっても、それらスポットはすべて橋を越えて大陸側のマカオ半島のほうにある(おそらく。よく知らないけど)。タクシーに乗ろうにもホテル前には長い列ができている。今はベネチアンリゾートが単独で建っている状態だが、周辺にカジノ建設が進んでおり、それらが建ちそろい、それぞれのカジノで、いろいろなショーが行われるようになれば状況は変わってくるだろうけれども。
マカオへの観光客の約60%が大陸中国からで、平均滞在日数はわずかに1.4日なのだそうだ。香港からの観光客が約30%を占めるが、彼らはほとんど日帰りなのだろう、全観光客の平均滞在日数についてはさらに短い1.2日。カジノにだけ行くのが今のマカオの遊び方だ。ベネチアン・マカオ・リゾートはその滞在スタイルを改革しようとしているわけで、大いに楽しみだけれども、それが成るには、コタイ地区にホテルがずらりとならぶまで、すなわち少なくともあと5年は必要かなぁ。■
DATA
澳門威尼斯人度假村酒店
The Venetian Macao Resort Hotel
ザ・ベネチアン・マカオ・リゾート・ホテル
シャトルバス:
拱北税関から 10~24時 5分毎
フェリーターミナルから 10~24時 8分毎
空港から 11~21時 10分毎
蓮花大橋税関から 10~20時 10分毎
サンズから 10~翌2時 8分毎
ショッピングモール・ゴンドラライド営業時間:
日~木曜 10~23時
金土曜 10~24時
TEL:(853)28828822
URL:http://www.venetianmacao.com
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