(2005年4月記、2007年10月追記修正、2010年6月全面改訂)
場所は宝山。上海市の北部に位置する唯一のゴルフ場である。虹橋開発区からは車で40分ほどと近く、外環状線を降りてからは15分ほどで到着できる。A30の出口からは10分もかからない。上海市の北側に住んでいる人にとってはかなり近いゴルフ場である。
フォレスト・コース(北森林コース)とサウス・レイク・コース(南泊湖コース)の2コース全36ホールで、うちフォレスト・コースは上海有数の名コースである。
2005年9月末にオープンしたフォレスト・コースはPeter Thompsonデザインのパー72・7266ヤードのチャンピオン・コース。その名のとおり木の多いコースで、ティーグランドからグリーンまで、フェアウェイ左右に並ぶ木々が、攻略を難しくすると同時に美しい景観をつくり出している。上海の他のコースの木は細く低いものばかりだが、ここは樹齢を重ねた多種多様の木が密集して立ち並んでいる。アンジュレーションのあるフェアウェイも、ショットを難しくすると同時に景観を美しくしている。原則として会員専用であり、ビジターのみではプレーはできない(なお、2010年6月現在、サウス・レイク・コースが改修中であることからビジタープレーも可(ただし、週末については会員優先のため予約できない日も多い)。
特に印象深いのは2番と16番。いずれもロングホールで、2番は短いもののアイランド・グリーンで、グリーン前及び左右はバンカーで固められており、簡単には2打でのせることはできない。右ドッグ・レッグの16番はティーショットで右側の池とバンカーを越えていけばショートカット可能だが、バンカーを越えて30ヤードほどのところにティーグランドからはブラインドとなる川があるので注意が必要。グリーン前はクリークが横切りホールアウトするまでまったく油断できないホール。
一足先の2004年8月にオープンしたサウス・レイク・コースはパー72・7248ヤード。フォレストコースと同じPeter Thompsonのデザインだが、こちらはところどころ「アレ?」と思わせる場所がある。例えばトラップの位置。起伏がなく、水の多いコースで、いくつかのホールを幅5メートルほどのクリークが横切っているが、そのほとんどが普通にティーショットをすれば越えてしまうような場所に設けられている。まあ初心者殺しにはなるかもしれないが、中級以上のゴルファーにとってはただの飾りである。また、ほとんどのホールで右側が池になっておりやや単調な感じが否めない。設計者がドロー系だったのか、スライサーにきらいなヤツでもいたのか・・・笑ってしまったのは18番ホールグリーンのすぐそばに設置されたスコアボード。グリーンに近すぎ景観を悪くしているように思うのだが、ゴルフ場のパンフレットにはわざわざ「国内で最初のオーガスタと同じPGAスコアボード」と紹介されているのでゴルフ場の自慢の一つなのだろう。しかしウッズやエルス、シンなどの名前とスコアが、それも8とか9とかいいかげんな数字が、載せられているのには苦笑せざるを得なかった。
とはいえ、サウス・レイク・コースにもいくつか面白いホールがある。10番は右に緩やかなドッグレッグロングホール。フルバックからでも544ヤード、レギュラーからなら485ヤードと短く、右の池を無難にこなせば、二つで載せられるホールだが、グリーン左手前はバンカーだらけになっている。右手前には猫の額ほどのフェアウェイスペースがあるのでそこを狙っていけばいいが、少し短くても、右にそれても池落ちとなる。14番ロング(フルバック571ヤード)も右ドッグレッグでグリーン手前がバンカー・右側が池となる。10番に似ているという点が残念ではあるが、こちらもチャレンジングなホール。全18ホールに照明施設があり、これは上海で初とのこと。
サウス・レイク・コースは2010年6月より改修に入っておりクローズされている。ジャック・ニクラウス事務所によるデザインとなるとのことで、大幅な改造がなされる模様である。
クラブハウスのロッカーは暗証番号式。そして貴重品ボックスは指紋認証の仕組みになっているのだが、筆者の指の問題なのかもしれないが、何度やっても指紋を認識してくれず、結局使用しなかった。各ロッカーにはビジターでもそのプレーヤーの名前の札が付けられているのはなかなかうれしい。ロッカールームは風呂も含めてかなりの広さで気持ちがよく、トイレの便器がゴルフボールの形になっているなど遊び心もある。2階には会員専用のラウンジがある。なお、レストランの料理は、少なくとも日本人の口に合うものではなかった。
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会員専用ロッカーの入り口 |
会員専用ラウンジ |
明るいクラブハウス内
レストラン |
当ゴルフ場建設は上海市政府絡みの衛星都市開発の一環であり、周辺には展覧会場や北欧の街並みを模した住宅地建設なども行われている。ゴルフ場クラブハウスに隣接してクラウン・プラザ・ホテルがあるので、宿泊してたっぷりとゴルフを楽しむのもいいだろう。ホテルには2つのレストランやバー、屋内プール、ジムなど施設がそろっている。18時までやっている練習場はホテル前の路の向かいにあり、クラブハウスからよりもホテルからの方が近い。
オープンから5年を経て、クラブハウスや隣接するホテルなどで、早くも古さを感じる場所もみられるようになってきているのがやや残念ではあった。
ついでながら2010年6月より、「キャディーがチップを受け取ることを禁止しないこととした」との告知看板が立っていた。これも中国人件費アップの流れの一貫か。これが他のゴルフ場に波及していかなければいいのだが。。。
名物ホール:フォレスト・コース16番592ヤードロングホール
右ドッグレッグのロングホール。長いホールではなく、飛ばすプレーヤーなら右へショートカットすれば2オンも難しくない距離だが、ティーグラウンドでは右の池と池を越えたところに広がるバンカーがプレッシャーとなり、右側を狙うには勇気がいる。思い通りのショットで右池とバンカーを越えても、フェアウェイ部分は縦に30ヤードくらいしかなく、その先にはティーグラウンドからは見えない川があるので注意が必要だ。グリーン手前にはクリークがあり、クリークとグリーンの間もバンカーでガードされているので、グリーン狙いのショットも難しい。
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