このところ本業に追われ、しばらく中国国内旅行もできないでいたのだが、そろそろ体がうずいてきた。本連載も半年も休んでいるので編集から催促を受けていたところである。
目的地として選んだのは雲南省である。今年は雲南省を訪れる人が多い。花博が開催されており、中国政府も積極的に広報をしているためだろう。これを読んでいる人の中にもこの夏に雲南旅行を予定している人が少なくないに違いない。
雲南省へは3年前に行ったことがある。その時は昆明、大理、麗江とまわった。昆明については大した印象はなく、麗江については地震からの回復状況を見に行くのが目的で、観光はあまりしなかったのだが、大理が実に気に入った。
大理石の産地として有名なこの町は白族が多く居住する。三塔寺など観光スポットも多いが、町全体の雰囲気がいい。白基調のカラフルな民族衣装を身にまとった白族の女性が道を歩く姿を見ているだけでも楽しい。欧米人の観光客が多く、彼らを対象としたオープンカフェが何件かある。そこで雲南コーヒーを飲みながらリィァオティェン(雑談)するのも中国の他の場所では味わえないものである。一番のお気に入りは湖の遊覧船だ。船上で民族舞踏の表演があるのだが、その民族ダンサーのうちの一人が夏目雅子似の美人(なんだか風俗店紹介記事のような表現で恐縮だが)であったのだ。右の写真をご覧いただきたい。写りが良くないので分かりにくいかもしれないが納得いただけるだろうか。
その後の3年間、よく周囲の人に「彼女に会いに大理にもう一回行きたい」と言い続けた。実際には、彼女はもはや同じところで踊っているとは思い難いのだが、もう一度少数民族の(小姐の)往来する町の雰囲気を訪れたかったのだ。
ということで以前から行きたかった雲南省ではあるが、今回の旅行の直接の動機となったのは「シャングリ・ラ空港開港」という報道である。「シャングリ・ラが外国人に開放された」という噂を聞いたのは去年の夏であった。その後この不可思議な響きの名前が気になり続けていたのだが、具体的な場所も行き方もわからなかった。しかし本年5月にシャングリ・ラ空港が雲南省麗江の北に開港したとの報道を見て、「これはさっそく行かなくてはならない」と思った。
その他にも花博が開催中であることや、この後すぐ述べるように、友人が「昆明のゴルフ場は中国一」と言ったことも助け、半年ぶりの国内旅行に出かけたのである。
昆明カントリーゴルフクラブ
私のゴルフ友達のH氏。北京人で、以前某日本の商社で働いていたが、一財産を築いた後退職し(彼は恐らくまだ40歳前後である)、今は毎日ゴルフ三昧の生活を送っている。文字通り毎日で、彼に連絡をとりたい時は携帯電話が通じなくても上海近郊のゴルフ場2~3ヵ所に電話をすれば大抵つかまる。ある日彼に用があったのだが、携帯に電話しても、ゴルフ場に連絡しても見つからない時があった。その1週間後ゴルフ場で彼を見かけた際尋ねるてみると、地方に行っていたという。毎日仕事をせずにゴルフばかりしていてよく金が続くものだと感心させられていたが、実は地方で内職でもしているのか…と一瞬思ったが、彼の二言目は「昆明のゴルフは中国一ですよ」であった。結局上海にいてもいなくてもゴルフをしていたのだ。
それはさておき、「中国一」と言われて黙ってはいられない。それ以来私のこころはまだ見ぬ昆明にある「中国一」のゴルフ場にひき付けられてしまった。
昆明到着初日はおきまりの観光コースを巡り、翌朝さっそくこの「中国一」のゴルフ場を訪れた。
場所は昆明の市街から石林に行く途中30分程度のところである。クラブハウスはまあまあ立派ではある…が「中国一」と言えば、上海近郊の瀟洒なクラブハウスを誇るゴルフ場に抗議されよう。
コースについては、フロントナインは狭い。小姐が各ホールで「右も左もOBです」と言う。その上ウッドでティーショットをすれば突き抜けてしまうドッグレッグホールが数ホールあり、毎回アイアンでの打ち出しとなる。私は、良いコースというのは、9ホールで少なくとも1回は左右を気にせず思いきってドライビングでき、狭いホールについてもOBはなく、曲げたプレーヤーには林等でペナルティを与えるコースだと思っている。名門コースと言われるところは大抵そうだ。ここには、グリーンを狙う際にバンカーや池が大きなプレッシャーを与えるような戦略的ホールもない。よってコースについてもここが「中国一」というのはどうだろう。
ただ、バックナインには比較的広くなり、またコース全体を通して起伏があるので、いつも平坦なところでプレーしている上海プレーヤーにはうれしい。グリーンもフェアウェイも芝の状態がかなりよい。夏涼しく冬暖かく、湿度も低くない気候は芝にもやさしいのであろう。さらにボールがよく飛ぶのが爽快だ。標高2000メートルに位置するゴルフ場なので、ボールが通常より10%くらい遠くに行く。最初はグリーンオーバーを繰り返すこととなるが、慣れるといつもより一番手小さいクラブを使えばよいことに気づく。「中国一」を否定することを並べはしたが、総体として見れば結構いいゴルフ場である。
さて、H氏はなぜ「中国一」と言ったのか。時に70代でプレーする彼は数多くのゴルフ場でプレーしているはずだ。それなのになぜ。そういえば彼は「昆明のゴルフは」中国一と言っていたのであり、昆明ゴルフカントリークラブが中国一と言ったのではない。昆明のゴルフ以外の何かに強くひかれているのかもしれない。少数民族の現地彼女でもいるんじゃないか。
(後日、昆明には「昆明ゴルフカントリークラブ」の他にも「スプリング・シティ(中国語名:春城湖畔渡暇村)やサンシャイン・ゴルフ・クラブ等、その他にすばらしいゴルフ場があることを知った)
住所:昆明市安石公路14公裏所
電話:0871‐742‐6666
ファックス:0871‐742‐6668
料金(99年6月現在):
グリーンフィー:平日400人民元、休日600人民元
キャディーフィー:100人民元
レンタルクラブあり。ただし私が借りたセットはいろいろなクラブのチャンポンで、ドライバーはなかった。
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